91.12.02:Fez-1
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91.12.02(月) FEZ つづき
再び引用するが、原研究室のレポートでは地中海地域の集落は
1. ペトレス型  2. クエバス型 3. メディナ型
の三つに分類されている。 それらは住居が集合される形式の中で、どのような領域が明確に現れているかによって分れている。つまり、
1.教会のような突出した施設が住居の集合形式を支配し、集落全体に明確な 領域が見いだせる中心広場型・・・ペトレス型
2.穴居住居の事例のように、いくつかの住居がまとまって集合の単位をつく り、家族の領域は不明確であるがその部分集合の領域は明確なクラスター 型・・・クエバス型
3.そして家族の領域が明確で、その各住戸が均質的に集合される加算型 ・・・メディナ型
という分類であり、集合形式そのもの中で明確に領域が現れていない部分は、何らかの外的要因(それが地形や風土といったもの)にて境界が形づけられていると言う指摘で、それぞれが大変魅力と示唆に富むもののようだ。
(補足して置かねばならないが、ペトレスと言う集落には家族の領域も 明確に見いだされるらしく、結合閾(原研究室の命名)にて二つの領 域が両立している複合型との事である)

しかしいずれも”近代化”という事にどう対応させるかという課題に直面しているように見える。 近代化というのは街の規模と輸送体系(交通システム、道路体系と言っても良い)の関連に話を限っても良い。人、物、情報、その他のエネルギー類を街の規模が大きくなればなるほど、どう輸送するかと言う問題だ。

FEZ EL BALI は外から見る限りでは、電気、(ガスはわからない)、上下水道は整備されているようだ。道路舗装のほとんどがインターロッキングブロック(t20〜30mmくらい)という近代工業製品であり、かなり体系的に埋設管の布設が行われてきたように窺える。 そしてそれらはメディナの骨格を変える事無く、ケーブル類を除けばうまく街に馴染んでいるように見える。 しかしメディナ内の交通機関はいまだに徒歩で輸送のほとんどはロバが受持っている。つまりFEZ のメディナはいくら最大の規模と言っても十分歩ける距離であり、だからこそ人やロバに頼る事も可能なのである。

もし規模を拡大する必要が生じたときはどうなるのか。
首都であるラバトの場合はメディナは残しているものの、別の区域に近代的な新市街地を建造している。 FEZ の場合は、かつては JDID に見られるように新たなる市街地として別のメディナをつくりそれを道で結んだ。しかし現在はラバトに同じく立派な道路を持つ近代的な新市街地ができている。 ヨーロッパの街に共通な、旧市街地は残すが、近代都市理論に裏付けされた市街地を新たに建造する事で古い部分をサポートしようとする姿勢だ。旧市街地を再開発で破壊(言替えれば整備)しない分だけましであるが、新たな部分にはメディナ(旧市街地)に見られるような魅力はない。 新しい物と古い物が明確に分れてしまうのではなく、もっと混在一体となって共存していく事ができないものだろうか。 古くから人が住み、時と共に様々な分脈が織り重なって醸し出される魅力と、近代化が要請する都市問題とをうまく整合させた街はどのようにすればできるのであろうか。そんな事を大いに考えさせられてしまった。

BALI内部

 

BALI内部

 

BALIの肉屋

 

 

 

 

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Last Update 00.06.17