時間がなく駆け足でコルビュジェのカーペンターセンターとスターリングのフォッグ美術館を見る。
コルビュジェのそれはダイナミックで流動的な形態を持つが、与えられた敷地が不十分で少し窮屈そうであった。彼の建築はあのサヴォア邸のように、自然と人工物の対比的な環境において、よりその真価を発揮させるようだ。そのことは大谷幸夫氏も言うように、「近代建築は密集する市街地に建てるのに有効な手段を持ちえなかった」という事に通
ずるのかも知れない。と思いながらスターリングの方へ急ぐ。 フォッグ美術館のファサードは何かを言おうとしていたが、周辺の建物をもっと見据えないと理解できないのか私にはわからなかった。
インテリアはその外部からの印象とは離れて、モダンであった。
地下鉄でM.I.Tへ向かう。
乗るべき路線を間違えたらしく、LONGFELLOW BRIDGEのたもとへ着いてしまった。そこからM.I.Tキャンパス中央部までチャールズリバー沿いを歩く。
対岸にはバックベイのロウハウス(いわゆる長屋)群越しにペイのジョンハンコックが聳えている。
川にはヨットが浮かび、天気もよく、しばしのどかな気分で散策。
めざすはサーリネンのチャペル。
そのチャペルは西日を受けながら、樹木の間にひっそりと佇んでいた。 静かなアプローチをたどると半透明のガラス面
に水の揺らめきが感じられるホールに導かれる。向きを90度変えればそこに天窓からの光を受けキラキラ輝いている祭壇部の金属性スクリーンが眼にはいる。
静寂な求心的空間。
音響の配慮からか所々吸音を期待する積み方の煉瓦壁面はうねり、そして下方から緩い光で照らされていた。外部犬走りの池からの反射光なのだ。
巨匠が誠心誠意、丁寧に造り上げた珠玉のようなこの小作品は感動的だ。
その後チャペル前のオーディトーリアム、アールトのベイカーハウスを訪ねるが、どちらも今や感動を与えるものではなかった。
この日の夜はボストンシンフォニーホールでボストンポップスを賞味。 ご馳走ばかりであるが、通
常の夕食を取っておらず、空腹のため半分の所で外へでる。
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