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この日の夜、視察団のミーティングが行われる。
矢作団長より水辺の建築に関連づけて”建築の仮設性について”という議題が出される。「仮設性」という言葉を「フェスティバル性」に置き換えたほうが捉え安く、そのように理解する。
水辺に近づくにつれ、確かに軽い構築物のほうが適していると感じるときがある。浮遊感がでるのであろう。水に浮いているようなワクワクした感覚、それがフェスティバル感覚につながるのであろう。しかしこの感覚はあくまで商空間、アーバンリゾート的な空間に付与される性格であり、人々の日常空間、生活空間に対してはまた別 の捉え方が必要となろう。
いずれにしろこれからの視察のテーマに加えられる。

90.06.28(木) BOSTON

ネイビーヤードを訪れる。
居住地区、オフィス地区としての再開発のようで、特にフェスティバル感覚を鼓舞させるような要素は見あたらない。と言うより魅力のない街だというのが第一印象である。
その中でハーバーに突き出した白い集合住宅が目についた。
ガイドによると、周囲のレンガづくりの建物との主に色彩的調和に欠けるとして不評をかっているらしいが、そのたたずまいは”水辺の建築”としてヒントがあるように思われた。
また、引き込み線や、ポンプ小屋、古い建物の断片等が随所に残され、”記憶を蘇生させる街”としてのコンセプトがうかがわれた。

その後ケンブリッジにわたり、ベンジャミン.トンプソン(B.T.S)のオフィスを訪ねる。
ゆったりした気持ちの良いアトリエではさまざまなプロジェクトが進行していた。案内してくださったダイアナ嬢の説明ではウォータフロントというより、都市問題の解決という再開発の社会的側面 が強調されていたようだ。
個人的にはともかく広いスペースとスタッフの充実が羨ましかった。

記念写真撮影の後自由時間となり、ハーバードとM.I.Tの二つのキャンパスを訪れる。
ハーバードのキャンパスは、伝統と格式を持つ建物群と豊かな緑に覆われていた。東京大学の本郷キャンパスのような、統一されたスタイル、明快な全体構成は見られなかったが、名門校としての風格が感じられた。

 

 

 

 

 

 



Charles River

 



B.T.S Office





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