90.07.07:帰国の日
90.07.07:夕暮れのNY

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90.07.07(土) 

8:30モーニングコール、10:30出発でホテルを後にしLOS空港へ向かう。特に病気や事故もなく(どなたかが気の毒に災難にあわれたが)過ごせた事はありがたい。
免税店でいくつかみやげを買い込みJAL061便に乗り込む。
N.Yより始まりLOSまで短期間でアメリカ大陸を横断した格好となったが、少々の疲れはあるもののエキサイティングな2週間であった。個人的には純粋に建築を見て廻る事に加えて”水辺の建築”を捜し求めたわけだが、前者は収穫大で、後者は少し収穫に乏しかったようだ。しかしながら、直接ウォーターフロントとは関わらないが、都市の中で執拗に”水”に憧れ、”水”を追い求める人間の欲望を見るにつけ、改めて”水”について考えるいい機会でもあった。
”水”は人間にとって最も身近な自然の存在なのだという事。
人は自分の五感を通じて”水”を求めるという事。
そして何より”水”に接して気持ちがいいという事。
この当たり前と言えば当たり前の事を建築にも生かしていきたいと思う。サンアントニオは大いに参考になる実例であった。
あのブリッジや擁壁など全てを建築化してしまえばまた新たなる展開も可能となろう。そういえば「サンアントニオ物語」という本が出たらしい。一度読んでおきたい本だ。

わが国の事例でも素晴らしいものがいくつかある。 今思い当たるものとして、安藤忠雄の”タイムス”(京都)、谷口吉生の”土門拳記念館”(酒田)など、日本人らしいきめ細やかな作品はたいへん素晴らしい。もっといろいろな優れた事例に接していきたいと思う。

かつて”水”は、われわれの生活に直結しながらわれわれを楽しませてくれた。
文明の発展は、その状態に戻る事をなかなか許さない。
だからこそ知恵が必要なのだ。
だからこそ工夫が必要なのだ。
水に限らず自然が持っていた多くの大切なものを失ってしまった現在、ウォーターフロント開発は、大げさに言えば、人類の未来を左右する事業なのだ。軽薄なリゾート造りのみに走るのではなく、人間のための環境を創り出す事こそが求められてると思われるのだ。

われわれは今神によって与えられた試練の時を迎えているのか。



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