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20.03:春と変なウイルスが来てます、ご注意を。

R科卒計展

例年に倣って先月はいくつか大学の卒計展を巡りました。その中でR科は実に眩しいほど輝いていました。
年々レベルが上がるのですが今年はさらに一段二段ステップアップ、大作力作が揃い見応え充分です。
卒計卒論なのでテーマ設定、問題意識があり、調査サーベイを経て分析し、的確に自分の答えに結びつけていく。
論理的な筋道がきちんと出来ているのでその成果に大変説得力があります。
そしてヒシヒシと感じる一人一人が社会に向けた真剣な眼差し、ここに心を打たれました。自分はのほほんと生きて来たなあ、と刺激いっぱいです。
一回りふた回り、気になる作品にたくさん出会いました。

堺の環濠都市を対象に豊かな歴史文化の重なりを分析し、メインの建物を茶の湯に代表される日本の心、精神を空間のグラデーションで表現し、小さなものを街の中でネットワークし総合的な美術博物館とするもの。

シェルに覆われたある家族の住宅。ワンルームでありながらトップライトから入る光が多角形の間仕切りに屈折し、一人ひとりの場所を創り上げる詩的な作品。

穏やかで慎ましい共同体を見るような障害者とのコミュニケーションボード。とにかく美しい。

大通りの裏に見捨てられたような川沿の狭い場所に古くからある商店街と絡ませ活用するもの。

商店街に組み込まれた子供園。丁寧にデザインされたメイン建物と両サイドから見守られ細長いストリートにネットワークされる子供たちのスペース。

道頓堀川に2次ストラクチャーを組み、界隈、賑わいの広がりを狙うもの。

空き家、人口問題に対応させた低層団地計画。
子供を取り巻く多様な環境に敏感に反応して親子共々豊かな生活を営む住まいの提案。

そしてかつては普通にあった水田の風景の美しさを再発見し、その場所の歴史、人の営みを紐解き最小限手を加えることで守ろうとするもの。これが今年のマイベストになりました。
田の風景と点在する素朴で単純な小屋が織りなす景観が大変美しく、一種の神々しさと、日本の心、精神性を感じました。

20.03.01