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19.03:春です

R科卒計展

春の気配満々、卒業の季節であります。そうなると4年生は一大イベントの卒業研究、卒業制作に大わらわです。
今年も摂南大学R科の展示会へ行ってきました。場所は変わらず本町アートギャラリーで展示形式も洗練されこの時期の定番となったか、学校関係者のみならず多くの人が訪れ、学生さんが忙しく説明に追われる光景はなかなか良いものです。

一応関係者として今年も1票を仰せつかりましたので真剣に拝見しました。
年々レベルが上がるその見応え度にまず感嘆しました。

卒業研究(論文)はR科ならではの実に多様でユニークな設定が大変新鮮で、また6年目になる蓄積からくる深さも出てきて見応え読み応えがありました。

かたや卒業制作もクロス形式の左右2枚のみでの展示(+模型α)という制約にも関わらず、その完成度は今までで一番です。それも人によってムラが出るのではなく全体のレベルが維持されこの学科が着実に成熟していると感じました。

 

とまあ、感心ばかりしてたのですが、行きつ戻りつ展示を見る中で自分のベスト5が見えてきました。
GISを利用して木造住宅密集地での避難シミュレーションを建物倒壊そして自助共助の観点でリアルに視覚化したもの。中津の路地を壮大に立体化したもの。ごく普通の住宅地の道路体系の中にリハビリを想定したファシリテイデザインを挿入することで住環境を一変させてもの。都市の公園を起点にタワー駐車場を経由して野鳥を利用した都市緑化計画。そして自然と共生する住宅の提案。この最後の作品に大変感じ入りました。
それは家の原型を見た思いがしたからです。

かねてより家、住まいの原点原型はどういうものかに興味がありました。原始時代のように衣服もままならない時の掘建小屋では参考にならず、ある程度文明が進んで、そう今の時代でもインフラに頼らずいろんなものをそぎ落とせばどうのような住まい、家になるのか、そういう興味です。

提案は共生がテーマでしたが、まず土の壁(版築)で領域を区切り、そこに木で屋根を掛けるのですが、その土地で手に入る材料で、あくまで人の手によって出来る範囲で、住むことの始まりが示され、「建築は自然と人をつなぐもの」というコピーとコルビュジェばりの5原則もカッコよく、あたかも絵本のページをめくるように展開されます。時間軸の中でその形が変わっていくのですが最後にはまたそれが残る。始まり、終わり、循環していく。ピュアで強い作品でした。

19.03.01