25.02:寒さが厳しくなりました

原広司先生

原広司先生が亡くなられた。
先生と書きましたが特に面識があるわけではなく単に私淑していただけですが、先生の作品、言葉にずっと魅了されてきました。

「有孔体」や「建築に何が可能か」は理解が追いつかず遠い存在でしたが、やはり世界の集落調査を始められてからがすごく魅力的で追いかけ始めました。雑誌に発表される研究室のレポートは、世界はこんなに面白いのか、と心踊るような体験でした。

先生の言葉は実に魅力的だ。
調査の集大成とでも言うべく「集落への旅」で地中海、中南米、東欧、インド、アフリカと読者も共に世界を廻ることができるが、「かげりのなかの集落」「周縁が見える集落」「形象をこばむ集落」など、その集落の特徴がサブタイトルとなりその世界に入り込む想像力を刺激してくれる。

また建築家として常に話題作を発表されここでも言葉と作品の完成度に感嘆する。
「住居に都市を埋蔵する」粟津邸に自邸、「様相」のヤマトインターナショナル、「空中庭園」の梅田スカイビル、「谷」のような京都駅ビル、小規模から大規模な建築までいずれも言葉のイメージが形になって現れ、そこにいるものは時間、空間を飛び越えるような感覚にさせられる。
また沖縄の小学校や信州の美術館など、どこにそんな時間があったのだろうと思わせるほど、設計された建物はいずれも緻密で名建築と呼べる完成度の高い建物だった。

巨匠というような言い方は今はあまり聞かないが昨今そのような方が続けて亡くなられている。我々の年代には実に大きな方だっただけにやはり寂しい。

25.02.01