23.02:一番寒い季節です。ご自愛ください。

磯崎さんのこと

昨年暮れ磯崎さんがお亡くなりになられました。
特に関係はなく、またさん付けでお呼びするのも大変恐縮ですが、個人的に色んな思いが巡ります。

ギーデイオンの頃から難解な建築理論にはなかなか追いつけず頭を悩ませましたが、その筆頭が磯崎さんでした。「空間へ」から始まり以降発表された膨大な著作や論文は、瑞々しく魅力的な(時にはショッキングな)言葉に溢れ、何とか理解しようとしてそれにはまり込んで抜けられなくなってしまった感じです。
その思考は建築の領域を軽々と飛び越え、都市、社会、歴史、芸術、哲学と縦横無尽で正に知の巨人、基本知識や素養がなければなかなか引き寄せられません。

実作品も難解な作品が多いのですがやはり世界的な気鋭の建築家、素晴らしい作品が並びます。通常は戦略的なテキストとセットで発表されますが、テキスト抜きでも建築の基本要素、形態、素材、空間、特に光のコントロールがすごく巧みで、好きな作品が多い。好き嫌いがはっきりする気がします。

もう古いことですが幾度か北九州、群馬、つくば、水戸と「イソザキ行脚」を行いました。記憶を辿ると、陽光に輝き陽光に溢れる群馬県立美術館、重く荘厳な大分県立図書館、存在感溢れる堂々とした湯布院駅舎、そして奈良100年ホールなどが浮かびます。良いものは古典から連なる歴史軸のようなものが1本通ってると感じます。

結局ひとつの敷地に建物を建てる建築の枠組みを超えて、世の中の成り立ちや社会の仕組みを含めて「アーキテクチャー」と呼び、そのあり方を思考し続けられた。
理解できてるとは言い難いですが、そういう気がしています。

23.02.01