22.10:台風とともに秋もすすみ・・

唐招提寺のお月見

正式には観月讃仏会と言うらしい。本年は9月10日、鑑真和上とともに仲秋の名月を愛でる伝統行事のようです。
うっすらと暗くなる中18:00から和尚たちが金堂の前廊に並び、法要が始まる。3体ある仏様、盧舎那仏像、薬師寺如来像、千手観音菩薩像、それぞれの門扉が開き、普段は隠れておられる仏様が大きく立ち現れ、照明で金色に輝いている!

暗くなるにつれその輝きが増し、蒼黒い空、黒い本堂、境内の静けさに僧侶の法要の低い声と相まって、金色がますます神々しく神秘性が高まり、精神の高まりを覚えました。

法要が終わればすっかり日も暮れ、暗くて見えにくい境内を、鑑真和上がおられる御影堂まで移動。ここでお花とお団子とともにお月さまを愛でる段取りらしい。

あいにくまだ時間が早いのか月は東南方向に低くあり、他のお堂や樹木で見えなかったが、この御影堂の設えがまた見事だった。
庭に向いた障子類が一斉に取り払われ、照明で畳が白い舞台に化し、背景として東山魁夷作の青い襖が連なっており、実に美しい。
中央にお団子が備えられていたようだがそれは目に入らず、明と暗、黒と白、の対比の中、建物の中では古来からの雅な精神が白い舞台に立ち満月と対峙し、その様子を人たちは建物の外の暗闇から心の中で鑑賞している、そんな内外逆転したような空間が生まれていた。

伝統的な行事がコロナ禍で少々変形されてのかもしれないが、秋という季節、日の暮れる時間帯、そして天体の動きという大自然の中で息づいてきた唐招提寺の伝統、歴史を感じられた気がして、大変貴重な体験でした。

22.10.01