22.07:あっという間に梅雨明け。猛暑に注意です。

藤森先生語録

先日ふらっと本屋さんに立ち寄り、何気なく目に入った藤森先生の本。
平凡社から出てる先輩たちの「のこす言葉」シリーズの一冊のようだ。
パラっとめくると肩肘張らない語り口調の感じが馴染みやすく購入。写真も多くさらっと読めるが、最後の章が結構心に響きました。
先生ほど膨大な知識や考察がない輩が軽々しく引用すべきではないとも思いますが、印象的だった部分を自分なりに繋げてみました。

「優れた建築は本人も気づかなかった意味がいっぱい入っている。だから時代を超えられる。その時代の中で考えたことは時代が変われば死んでいく。」
「理論化は言葉によってしかできない。その一方ものをつくることは自分の中の酵母のようなものがぐずぐずと発酵状態にあってそこから生まれてくる。言葉で理論化することはそこに強い光をあてるようなもので、だいたい酵母は死ぬ。」
「ミースでもコルビュジエでも一流の建築家の仕事は本人の考えた内容で生き残っていくわけじゃない。本人が考えもしなかったものが中にあって、それで生き残っていく。」

ものづくりのぐずぐず状態は、レベルは違うけど少し分かるかもしれない。
でも、発酵する酵母は誰でも持ってる、とは先生は言ってくれない。
また書籍の冒頭では
「自然と人工の建築との関係を、美学の問題としてきちんと調停させなければならない」と言われてる。
美学の問題となればやはり言葉なのだろうか。
酵母と言葉。
建築史家であり建築家である先生の「のこす言葉」にしばらく悩まされそうだ。

*書籍案内
タイトル:藤森照信 建築が人にはたらきかけること(平凡社)

22.07.04