22.03:早く春が来て欲しい。

R科卒計展2022

オミクロン、オリンピック、ウクライナ等々、寒くて慌ただしい2月が過ぎ、春を感じる頃になりました。
春と言えばこの季節、大学では恒例の卒計展が行われており、今年のR科はキャンパス内の校舎1階ロビーで行われました。
コロナがなければ大阪本町での開催だと思うとそこは残念でしたが、Webやオンラインではなく、直に学生たちと話しができたことは大変貴重で本当に良い時間でした。
内容も実に多様です。
それぞれ所属の研究室でのテーマがあるものの、個人個人が今の社会や個々の感性に敏感に反応し、創り上げたまさにオンリーワンの卒業論文、卒業制作は刺激でいっぱいでした。

特に印象深かったものをいくつか挙げさせていただくと、
コロナ禍で要求される換気が空調負荷に与える影響の研究。
キャンパス内の多目的トイレの利用状況を、自ら部品を集めて装置を組立て、調査しデータ化したITのDIYと言える研究成果。
地域の避難経路など防災情報を従来のマップを超えて、シミュレーションしながら、あるいはゲーム的に体験しながら身につけていくツール。
オフィス内でデスク配置を含めた空間選好特性を考察し、レイアウトデザインに寄与する研究。
自然の中で山を登るような感覚で住む爽やかな膜構造の住宅。
書をテーマにし、グレーのグラデーションを纏った静謐な建築デザイン。

まだまだあります。
アジアの民族共生都市としてその土地の伝統文化と真正面に向き合い、昼と夜の異なる表情を通じて建築化しようとした提案。
難民シェルターの住環境を改善すべく竹と土で造る屋根を考え試作を繰り返し次へと繋いだ提案。
高齢者施設と保育園の両施設を地域との交わりを射程に入れながら、プログラムから建築計画まで、年間の、また一日の時間割まで含めて大変丁寧に組立て、大屋根と中庭の伸びやかな造形でまとめ上げた作品。
生き物の巣を研究し、循環していく人の住まいを考察した提案。

そして最も惹きこまれたのは、
パーマカルチャーと銘打ち、山の中の北斜面地の孤立したような集落に着目し、そこでこの時代を生きる、負荷を低減した暮らしの提案でした。
いわゆる限界集落といって良い(現在人口一人というところから引き込まれました)厳しい環境の中で、自然の森や人口の林を巧みに利用し、光、熱、風といった自然要素をうまく取り入れた住戸計画も魅力的で、建築から土木にわたり、これから環境を考えるときに幾度となく思い起こしたい提案でした。

みなさまのこれからのご活躍を大いに期待しております。
お疲れ様でした。

22.03.01