21.05:暖かいのに寒い、落ち着きません

松柏美術館

この美術館はご存知ですか?
奈良の市街地のはずれにポツンと建ってる小さな美術館です。もしご存知なら日本画の方かやはり建築関係の方でしょう。

私は建築関係ですが正直よく知りませんでした。設計は村野藤吾氏、先日良い天気の下訪れてきました。
入っていくと村野氏の美術館らしい外観に加え駐車場のパーゴラがまず目に入ります。型綱の十字形柱に多分ロールではないH型の梁、その上に木軸の斜め格子が乗ってて、ん〜ん、最初からやられてます。
アプローチがまた秀逸。すぐ前にスロープがあったのでてっきりそれを辿って入館と思いきや、建物脇の美しい庭を奥へ奥へと誘われます。

 

そして目に入るはガラスのキューポラ、でもこっちを向かず斜交いを向いている。なぜ?未だにわかりませんが、入ります。
一見禁欲的で閉鎖的なのに実にまろやかで優美な表情はまさに村野建築なのですが、中に入ると眩しいばかりの白い光です。
プランを見ると普通の中庭プランのようにも見えるのですが、確かに強い光は中庭からですが、建物全体が実に巧妙な光のコントロールがなされ、どこもかしこも綺麗です。またもや、ん〜ん、です。
展示空間のR状の形態を舐めるように染み入る光。導線のリズムを整えるかのように働く中庭の光。階段というより次へ導く光のボックス、ボリューム。そいう中に繊細かつ重厚な村野デイテールが満載で、思いがけない村野建築に幸せなひと時でありました。辺鄙なところですがオススメです。

*隣接する敷地にも木造の村野建築があるようです。なんでもそれは、つまりこの敷地は近鉄会長の居宅だったらしく日が合えばそちらも見学できるようです。ちなみにこの美術館の入館料は大人@820円でした。
21.05.06