en

19.11:やっと秋到来、いい季節になりました。

建物にはごく普通に窓がありますが、設計においては窓はすんなりとは決まりません。いや全く逆でこの窓、正確には窓を含めた開口部全体をどう決めるかはデザインの大半を占めると言っても過言ではありません。
どの面に窓を設けるのか、またその大きさをどうするのか、その窓は開くのかどうか、外が見えるのか半透明なのか。
光や風を取込み、眺望を楽しむ一種の装置といえばそうですが、その前にその建物の空間を閉じるのか開くのか、内外は連続するのか、はたまた内部の各スペースはどう繋がるのか、などなど、つまり建築空間をどう考え、どう決定づけるかといった基本の要素でもあるのです。
しかしそういうスタデイを経たと思われる建物に出会う確率は大変少ない。

建物種別によって事情は異なりそうです。
例えばオフィスであれば内部はある一定の大きなフロアーが要求され明るさも明暗が出るより均質さが要求されたり、窓もガラススクリーンというべく面積が大きいので熱負荷軽減など、空間の問題というより環境工学的な解決が要求されます。
しかし住宅は違う。
内と外を繋げたり遮ったり、小さなスペースを開いたり閉じたり、まさに窓、開口部は空間構成とダイレクトに繋がる大問題で、これで良いと思えるまでは胃がキリキリ痛む格闘のような作業です。
その土地の太陽、風、気温や湿気、周辺の建物、同じ市内や町内でも建つ場所によって微妙に条件が異なり、こうありたいと思う答えは時に矛盾に満ちます。
大阪に建つ、あるいは関西に建つ、と言っても一律ではないのです。
その前提に立って窓を考えるべき、と強く思います。

19.11.02