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19.10:いまだに暑い、これいかに

大丸

先日大阪心斎橋の大丸百貨店がリニューワルされオープンした。御堂筋に面したこの場所は近代建築で有名なヴォーリズの大丸、村野のそごうが並んで建つ、昔からミナミの顔と言える場所で、今もデザインを競う華やかなビルが建てられる場所である。
すでに村野のそごう亡き後、ヴォーリズがどうなるかが建築界では注目されたが、結果はファサード保存、正確にはいくばくかの奥行きをもって正面部分が保存され、後部に高層フロアが増築されるという、いわば現代の典型的な手法がとられている。

近代建築が建て替えられる時はいつもそこそこの論争があり、端的に言えば残す派と壊す派が主張しあうわけですが、今の日本社会では圧倒的に壊す派が強く、なんとかファサードだけ残せたとしても、その薄っぺらな表情にはもはや魅力なし、という事例が多いように思います。
その意味では今回の奥行きをもった保存は多いに意義あるものに思えました。
重厚なネオゴシック風の古いファサードと新しい高層部の細やかなスクリーン。御堂筋が高層化する中、新旧対比的な新しいファサードは景観上説得力を感じました。
しかしインテリアが少し印象が変わってしまったのが残念です。
有名なきらびやかな光天井などは復元的に残ってましたが、随所に見られたアールデコ風の優美な装飾が目に留まらず、さらっと綺麗になってフラット化された感じです。
中央に集約されたエスカレーターも、多分上下移動に合わせて新旧を対比的に体験させる意図だったと思うのですが、旧のインテリアを残す難しさを感じました。

その足で難波まで歩いていくと今度はもう一つのプロジェクトが姿を現していました。このKUMA作品にコメントする余裕が今はありませんが、以前から議論されてきた近代建築の保存問題。いま大阪や東京は建築や都市を考えるいいチャンスかもしれません。

もうすぐ生けフェス2019です。今年は早めに予約をしたいと思ってます。
https://ikenchiku.jp

19.10.02