18.05:いい季節になりました

住宅のファサード

ファサードといえばルネサンス建築など古典的な建築や、都市の中心部に建つ都市の顔となるような建物をまず思い浮かべてしまうかもしれませんが、住宅の場合はどう考えればいいのだろうか、と最近気になってしょうがありません。
もちろん正面玄関や門扉などは重要な要素として取り扱ってきたが、あくまでそれは一つの建物の範疇であり、都市へと連なっていくファサードという意識は残念ながら希薄であった。言い方を変えれば住宅という個人のプライベートな建物はそこで完結していて何の問題もない、と考えていた。
しかし道路に面した面と考えればやはり特別である。つまり建物が街や都市と関わろうとするとこの面しか無いからである。
ファサードと書いたがそれは道路に面した佇まいのようなものと考えていただく方が近い。格好いい玄関や格式ある門扉が重要ではなく、それら含めてその建物が道路、街路にどのように参画しているか、その態度のようなものである。
密集地では道路からすぐに玄関や居間の窓があったりするが、その時感じる違和感はプライベートを守るのと合わせて道行く人に対するパブリックな配慮も含まれる。
良好な住環境は決して自己の敷地内だけでは成り立たない。プライベートとパブリック、そしてその間にあると思われるコモン。昔習ったそれらの言葉がいま意味するところをもう一度捉え直す必要を感じるのであります。

18.05.06