17.11:次はもう師走なんですね。

屋根の下

以前から疑問に思ってきたことがある。それは日本の家では屋根下空間がなぜあんまり活用されずにいたのか、である。
古民家まで遡らずとも日本の木造家屋には大体立派な瓦屋根がつきものである。その安定感ある堂々たる姿にも関わらず家の中ではその屋根の下を味わうことがほとんどないのである。
確かに日本の空間は特に中心を定めずに水平に連続し庭など周辺の外部と繋がっていくフラットな連続性が特徴とされている。そこに光と影の陰影が織り合わされ妖しげで艶やかなシークエンスが展開するのだが、屋根との関係性が見出せる事例が頭に浮かんでこない。
最近ではもちろんそんなことはない。屋根をかけその下に生まれる空間を最大限活用しようとするのが普通であろう。
以前の日本の建物ではなぜそうしなかったのだろう。確かに今のような断熱材など建材がなかったことはあるかもしれない。あるいは木造の衰退と絡むように少しでも容易に作ろうと質が落ちたのかもしれない。いやでもそこには何らかの美意識があったに違いない、とも思うのである。

現在関わっているリフォーム物件。
内装を撤去していくと思わぬ空間が出現した。低く抑えられた水平空間の仕切りが取りはらわれると空間は屋根下までジャンプし、ふくよかな広がりを持ってダイナミックに連続していくのです。
日本の木造建築にはこのような豊かな空間性が内在しているのを改めて再発見しました。

17.11.01