17.07:夏はもうすぐ

美の基準

「建築は場所を尊重し風景を支配しないようにしなければならない」
これは真鶴町のまちづくり条例「美の基準」の第1章最初の文章である。

皆さんは真鶴町をご存知ですか?私はあるテレビ番組でこの町とこの基準のことを知りました。ほんの少し映っただけでしたが、ビジュアルに簡潔にまとめられた冊子が大変読みやすそうだったので是非共取り寄せたいと思い、少し時間がかかりましたが今手元にあります。
説明によるとアレキサンダーのパターンランゲージから多くを引用し、チャールズ皇太子の「建築の10の原則」にならった8っつの基準から構成されている。そして注意深く選ばれたキーワードや文面が実に魅力的なのである。それらが現実の街の具体的な現況にあてはめられているので大変説得力があり、あの名著だが読むのがしんどい「パターンランゲージ」の格好の解説書のような体裁である。
これが条例であるというところに感動しました。こんな条例作りをする街に住んでみたい、なんて思ってしまいます。
幾つか気に入ってるキーワードやフレーズがあります。
「終わりのところ」「舞い降りる屋根」「守りの屋根」「敷地の修復」そしてそこでの説明文に「敷地の一番いい場所には決して建物を建てないこと・・・真鶴の大地がさらに自然を維持していけるよう敷地全体を修復すること」などなど、一つのキーワードが写真やイラスト満載の見開き1ページにコンパクトにまとめられ、実に読みやすく分かりやすい優れたデザインの冊子です。最初から読まなくてもどこから読んでも参考にすることができます。
一体どなたが執筆し役所のどのような方々が編集に当たられたのか大変興味深い。
初版は1992年8月とあり25年前です。冒頭の見出しは次の文です。
*本デザインコードは、町、町の人々、町を訪れる人々、町を開発しようとする人々がそれぞれに考え、実行していくべき小さなことがらを一つ一つ綴っています。

残念ながら私はこの町がどんな町でどこにあるのかを知りません。(正確には知らないでおこうと思ってます)
ただこの冊子を読んでると物語に出てくるユートピアや旅行で出会った素晴らしい街々と重なり、心の中でずっと育んでいきたいような気にさせられるのです。
あまり調べずに今しばらく胸の中にいてもらうつもりです。

17.07.03