16.03:春を感じるようになりましたね

卒計展2016

2月も半ばを過ぎると例年通り各大学で卒業設計展が始まります。何年か前から何気なく見始めましたがいまや一つの楽しみになってきました。
さて今年はいつもの摂南大学住環境デザイン学科と少し足を伸ばして京都建築大学校を見てきました。
摂南大は本町ガーデンシテイの会場に特別に工夫された展示形式でコンパクトにまとまってました。

この学科は制作と論文がざっと半々でしょうか。やはり制作は大きな模型がまず訴えてきます。そういう意味では論文はパネル1枚を読みこなさないとなかなか理解できないので展示には不向きですが、今年は各学生が当番制で説明にあたりおかげで納得の行く訪問となりました。
個人的な制作のNo1は地域の神社と月の軌跡に呼応した小学校、論文では従来の評価では災害時の避難路として機能しない街路に新しい評価基準を設定しその可能性を示したもの。火事や災害あるいは立替え時など、安全性の名の下で単に拡幅された無機質な道路に置き換わって行く現実への無力感。この研究は地域に根ざした親密な街路空間が力を吹き返すようなイメージと重なり今年はこちらに軍配を上げました。

京都建築大学校は園部キャンパスの体育館での建築学科の展示でしたのでほぼ100%制作の展示です。みなさんの力作が床狭しと並んでました。こうなるとプレゼンテーション能力が訴求力の差にダイレクトに繋がります。
それにしても力作が多く感心したものはたくさんありました。とりわけ印象深かったのは自分の居場所をつくるとして、不定形な形態の平屋空間にいろんな方位や向きに開口部を設け、一日の、あるいは季節を通じて日だまりの場所や影の場所をシミュレーションしたものでしたが、それをどのように一つの建築物にまとめようとしたのかがうまく伝わってこなかったところは残念でした。
その他ダイナミックな造形や詩情あふれるプレゼンなど見所多い展示会でした。
早くも来年が楽しみです。

16.03.04