15.11:秋です、いろいろ考える季節です。

いけフェス2015

大阪のいけフェス、皆さんは行かれましたか?
「生きた建築ミュージアム」今年で2回目です。
昨年の第1回から大変な人気でゆっくり構えてると受付が終わってしまうので、今年は早々に申込み抽選で日銀とオーガニックビルをゲット。

どちらも貴重な体験でしたが実は強烈な印象を受けたのはフリーで行ける浪花組社屋でした。あの巨匠村野藤吾作品です。
思わず「なんじゃこれは!」と叫んでしまいそうな強烈なファサード。1964年竣工当時のあの界隈が今と同じだったのか定かでありませんが、ちょっといかがわしく乱雑な大阪ミナミの中ではかなり強力な造形が求められたのかもしれません。
しかし近くにはあのそごうやプランタンや鉄板1枚デザインなど、簡素に単純化され、グラフィックで優雅な、そして究極の白いプレーンなファサードなどもあります(いまやもうありませんが)。
村野さんの外観ファサードは実に多種多様でとても同じ一人の建築家のデザインなのか戸惑ってしまう事が多いのですが、その中でもとりわけ異端の部に位置するのではないでしょうか。
壁面が分節化され凹凸の陰影を持つ一定の単位が執拗に繰り返されるデザインはこれまでもたびたび目にしましたが過剰に映り好みとは言えませんでした。しかしこれを見てしまえば総じておとなしい。年代順に追えなくて恐縮だが浪花組は他のものを遥かに超える一種の怨念のような凄まじさで、左官業の社屋ということも手伝ったか、温厚で上品な建築家というより内からの激情を抑えきれない芸術家あるいは職人魂の現れとでも言えそうです。
反面内部は逆で、大理石がふんだんに使われ村野流のデイテールも顔を見せますがさらっと力が抜けてる感じでそのギャップが意外です。
この時いったいこの大建築家の中に何が起こったのか気になってしょうがありません。少し文献を探してみたいと思います。

その後すぐ近くの島之内教会を訪問。浪花組の影響かどうかその簡明さシンプルさにいたく感動。中村鎮設計で竣工はなんと1928年!一見見過ごしてしまいそうな控えめな建物ですが西欧の古典的なファサード操作と鎮ブロックが解決したスリムなプロポーションに先端のモダンを感じました。
名建築2題に建築の奥深さを感じた今年のいけフェス。年々の盛上りを期待したいです。

15.11.04