14.08:暑中お見舞い申し上げます

まちのかお

美しい街並みを造るにはどうしたら良いのだろう?
別にそういうことを考える立場でなくても建築をやっている我々には共通の問題意識ではないだろうか。
みなさん言われるように海外、特に西欧を訪れれば「あーなんて奇麗な街なんだろう」と感嘆することが多い。それは小さな村や街もそうだが、パリ(やロンドン?)のような首都の大都市でもそうだ。石造、レンガ造など耐用年数の長い建築の連なりと道路体系とが相まって都市の骨格を築いており、そして何より近代発展に伴う新しい都市機能の要求からその骨格を守る術がある(と思われる)ところが素晴らしい。
パリ(やロンドン)は「昔は美しかった」ではなく今も変わらず美しいのである。

対してわが街大阪はどうだろうか。
かつては大阪城へと繋がる八百八橋と歌われた水運運河が独特の風景を造っていたと推測されるが、近代に向かう過程で、また不幸にも戦災でその姿を失い、近代都市共通のグリッドパターンの道路体系を持つ都市となった。
このグリッドパターン体系は自動車による移動、物流を考えると大変優れたシステムで、タテヨコいろいろなルートを取ることができ、均等にそしてすばやく街区の隅々までアクセスできる。また規模を拡大するときはそのグリッドを延長するだけで良い。
また道路で区切られた区画は独立性が保たれ隣接地から影響を受けることなく、企業は経済発展を背景に独自の利益を求めて必要な建築物を建て、そして壊してまた建て替えることが可能となり、その結果、街としてまとまった特徴やその姿、形が見えなくなってしまった。逆に言えば日本の都市は何処も同じになってしまった。(参照:「まちのかたち・まちのすがた」小浦久子)
グリッドの定型パターンにおいても魅力的な「まちのかお」「まちのすがた」を造ることはできないのだろうか。
小浦先生はある区画のファサードデザインはその敷地のみならず広く「まちのかたち」を提案しうるはずだ」と述べられているが、それはどんなデザインなんだろうか。
外を歩くたびにこのモヤモヤ感が頭をよぎり暑い夏がさらに暑くなるのである。

14.08.06
14.08.11