14.06:清々しい体験でした

木で造るということ

木造建築、素材としての木が注目されて久しい。
昔からの我が国の文化的背景、あるいはますます厳しくなる地球環境。注目される理由は明白なのだが、なぜか本流になって行かない。きちんとした分析ではありませんが今の状況に善悪二つの側面を感じています。

一つはシックハウス問題に絡ませた「自然素材」の売り文句です。主に住宅の分野でその言葉が飛び交い、木材、珪藻土、漆喰などなど昔の材料がアピールされてきました。しかるべき法規も整えられ確かに化学物質の害を規制するスタンダードはできたように思います。しかしF☆☆☆☆(フォースター)材料を選定使用することで、問題のすべてが解決されるような錯覚が流布していないでしょうか。
住宅メーカーは今までいろんな売り文句、古くはシステムキチンや出窓、あるいは高気密高断熱、そしてこの自然素材などなど、その時その時代の「流行」を機敏に掴み前に押し出してきました。「木の香り」「木の温もり」もその中の一つに組込まれてしまった感を持っています。

かたや木という素材の背景にあるもの、我が国の木で造る建築や工芸品などの歴史文化を理解し、自然素材の言葉通り、我が国の自然にある山や森の木から始まり、その伐採、加工、流通、そして各現場での組立や作品の制作まで通して、木と木を扱う職人さん含めた総合的なネットワーク-Sustainable Network-の構築が必要だと以前から訴えている人たちがいます。
昨今どんどんその人たちの声が大きく聞こえてきますが、残念ながら一つ目の「流行」より声が行き渡っていない。偉そうには言えません、私もついこの間まではその声をきちんと聞いてなかった気がします。

 

その根気づよく地道な活動を続けているMOKスクール主催の奈良県川上村の森林ツアーに参加してきました。
川上村の村営林に入り20年〜200年の杉檜の中に身をおきながら(実際は慣れない山道にひーひー言いながら)その後吉野で古くから営んでおられる阪口製材所さんを見学し、木の香り、木の魅力を一杯浴びて帰ってきました。
木という素材はやはり清々しく大変魅力的です。神社仏閣や裕福な物件でなくても自然な素材としてこのような材料が使えるのが普通になって欲しいと切に思いました。同時に一番は山の問題、林業の問題と認識しました。今は一部の林業家と材木屋さんが苦しいながらも良心と誇りで本来の木造建築を支えてる感じです。逆転の突破口はどこにあるのでしょうか。

14.06.03