13.09:少し前になりますが見てきました

豊島美術館

今頃なに?って思われるかもしれませんがちょっと衝撃でしたので今月はこれです。
みなさんご存知の瀬戸内芸術祭2013。今年初めて行ってきました。メインはやはり夏シーズンだと思いますが、今年3月のオープンした次の日、つまり人が少なかろうとの予測で春の部です。
直島はじめ効率よく全部見てやろうと、公式ガイドブックで調べるも何とも行きにくい。やはりネックは足となる船、そして宿です。どうしぼるか?結局犬島の三分一さんと豊島美術館をメインとしてあとは成行きにして宿は豊島にしました。
結果それなりに見て回れましたが一番期待の三分一さんを超えこの美術館に心を奪われました。

予備知識としてこれは地面に埋まっているのだと。確かに船からは見えません。港に着いてからはバスで行ったのですが、前を通り過ぎてより遠い不便なところがバス停。何だこれは、と思いながら美術館へ戻るようにアプローチ。が、もちろんこれは想定内。道を下りいったんほぼ全景が見え低いゲートを入り、チケットを買い、メインの展示空間へ。その通路は今まで多く見てきたドローイングのイメージ通り緑の中にうねる白い道。さらに目標から遠ざかるように木立の裏へ回り込んでのアプローチ。もちろんこれも想定内。
違ったのはその次の瞬間だ。
上足に履き替えてその胴体の頭なのかしっぽなのかどちらとも言えないエントランスをくぐると・・・
輪郭がなくぼんやりする感覚のあと、一瞬焦点が合い天を見上げた。それはあたかも以前ヨーロッパで初めて体験したゴチック建築の上昇し高揚感あふれる感覚を思い起こさせ、洞窟のようなイメージを思い描いていた頭には衝撃で、全く予想に反した空間にしばし動けませんでした。
コンクリートシェルの胎内の両サイドにぽっかり穿たれた光の穴。そこだけシェルの断面のエッジが鋭く眼に入るがそれ以外は線も面もなく奥行きや高さの感覚が喪失する。が、眼が彷徨う中にもふと焦点が合う瞬間があり、そのときにコンクリートシェルに覆われた大空間を感じるのです。小さいのか大きいのか分からなかったものが、とても大きなものとして実感する。
床の小さな穴から湧水が飛び出るのも時間を忘れる素晴らしさだったのですが、私の目線はあまりそちらには向かず建築家の世界を彷徨い続けたような気がします。
そしてそれが実に心地よかったのです。
ゆっくりと、ほんとにゆっくりともう一度訪れたい建築です。

13.09.02
13.09.03一部修正