■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。 

12.11:駆け足の秋

bim

そう言えば以前から目にしてきた名称ではある。何かの略称だとは分かるがなかなか覚えられなかった、b:building-i:information-m:modeling、それが先日の日経アーキの特集を読んでちょっと冷や汗、ひょっとしたらあっという間に置いていかれるのではないか?

かなり昔、故・笹田先生の講演でビックリしたことを思い出します。コンピューターの中に建物のモデルが出来ており、単なる3Dと思いきやさにあらず、どんどん入り込むとRCの鉄筋までデータが入力されており(だったと思います)それを断面で示すと施工の配筋図になる!
画面変われば天井内の設備の様子が立体的に見れる。ダクトや配管が複雑に密集しているなか、あるコマンドで不整合部分、つまり納まっていない部分がマークされる、そんなデモだった(ように思います)
それはとてもとても素晴らしく感動したのですが、あくまでコンピューターに関わる最先端研究室のトップグレードの研究だと思ってました。当時のそれと今のbimの対応関係が分かりませんが、そういう研究が知らず内に実用化され建築界の大手(まだ建設会社が主なようですが)ではもうすでに大活躍していると読むと、ちょっと気持ちが穏やかではありません。
当然大手設計事務所を皮切りに設計界でも普及し始めてるのでしょう。

しかしもちろん基本的な疑問も浮かびます。どんなソフトがあるのかを知らない故に余計そう思うのでしょうが、それを造り上げるのには気の遠くなるような作業量だと推測されます。モデリングが出来てしまえば将来のメンテ含めて確かに素晴らしい成果だと思いますが、誰がいつどのようにデータを入力するのか?段階に応じて必要なデータを継ぎ足して行くのか?設計者は何をするのだろう?自分の感性を手がかりにあるべき姿を追い求めるとき、その思索がどのような形で中に入って行くのだろう?

少し違うかもしれませんが、いまや普通になったCADの時でも、手で描きながら思索し自分に取込んで考えを深めて行くこと、そういうことがおろそかになる傾向が指摘され、現在はそれぞれがツールとしての付合い方を身につけて来たように思うのです。
さてこのbimはどんなことになるのか?
いまは傍観で良いと思いながら、何かにつけ気になる3文字であります。

12.11.01