■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。 

12.10:台風とともに秋がやってきました

木組みパズル

先日ちょっと楽しい講習会に参加してきました。木造伝統工法(在来工法)の仕口、継手を1/1〜1/5の模型で学習するというものです。図面だけでは分からない、そして今の現場ではなかなか使わない(使えない)ものが用意されており、それを自由に手にとり、バラし、組み立てるのです。
多人数のため構造の部と仕上の部、半々に分かれての講習です。

 

まずはその構造の部です。1m程度の平面の模型をみんなでバラシ組み立てる、順序を間違えてはいけないと分かってはいるものの、実際やってみるとどこから手を付ければいいのか、これが分からないのです。
もちろん先生が教えてくれるので時間内に出来るのですが、途中に隠れ技(差込み+スライド)が仕組まれており、正に本物の職人技、プロの技術を垣間みた思いでした。バラした部材も順にきれいに並べておかないと組み立てられないのは言うまでもありません。

後半は仕上の部、具体的には寺社仏閣の長押や格子が主なもので、以前にも写真などで見てるのでしょうがその緻密さに改めて驚きました。一番印象的だったのはナナメの活用と言うことです。
通常屋根以外はその仕上がりが垂直水平のタテヨコ、つまり直角が織りなす凛とした印象の日本建築ですが、その細部は実に巧妙なナナメ技法で支えられている、そんな風に思いました。

下手なスケッチで恐縮ですがこの写真は切目長押(恥ずかしながら知りませんでした。床の部位で仕上がりは90度回転してイメージして下さい)のものです。6mm程度の要所のツノ(正確な名称が分かりません)は直角加工ですが、大きくは斜めに合わし車知栓(ナナメの栓)で留める。これでガチッと、そうなんですまさしくガチッと強固に組み上がるのです。
こう言う小さな細かな細工の集積であの大きな建築物を組上げてきた日本建築。やはりこれはただものではない、とほんの入口だけでも実感した一日でした。

12.10.01