■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。 

12.06:もうすぐ梅雨です

木造仮設住宅

災害の度に目にするあの無味乾燥なプレハブ小屋。あれ、もうちょっとなんとかならないものか、いつまであのままなんだろう。建築を生業としてるものにとっては悔しくてしょうがない。今回も然り。確かに避難所よりはましだろうけれど・・・

多くの方の努力が一冊の本になっていました。タイトルは「木造仮設住宅群」。
今回の3.11は被災エリアが広く従来の体制では供給に支障が出たのが幸いしたか、福島県で木造の仮設住宅が各所で実現しておりそれを目にして正直嬉しい思いでした。

今まで何が障害になっていたのか。
書籍の文章を拾い読みして繋げただけなので正確性に乏しいかもしれませんが、災害時の仮設住宅は、各自治体とプレハブ建築協会との間で協定が結ばれており、プレハブ協会加盟の各業者は要請に応じて、短期間に(30日)、低コストで(200〜400万・・・定かではありません)、大量に、最低100戸単位で建設しなければならないらしい。
いつ起こるか分からない災害に備えて、そのときに少しでも早く供給できる体制を整えておかないといけないとなると、確かに機械的にならざるを得ないのかも知れないし、それが可能となる業者さんは限られて来るのだろう。
いくら地元の施工者が善意や熱意をもって臨んでも、この体制に加わることが出来なかったのだろう。

しかし今回そこに風穴が開いた。そんな風に感じます。
まずこの本で紹介されている建物はいずれも素晴らしい。地元の木材を利用して木という特性を十二分に活用し、多少の不便さは残るものの「住まい」としてのクオリテイが確保されている。
そして、建築家を初め、地域の工務店、木材業者、そして理解を示された行政の担当者の方々、それぞれは小さな力でも、みんなが力を合わせれば、これまで大企業に支えられて来た体制に負けない、いやそれ以上であることを示された。これがやはり嬉しい。

「こんな仮設なら住んでみたい」
ある方がこう言われており、私も同感です。
さらには今後の復興に向けての深い考えや理念が背景にあり、このプロジェクトは今後の流れを大きく変える、大きな成果だという気がします。
関係者の方々に敬意を表します。

12.06.01