■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。 

12.02:1冊の本より

コミュニテイデザイン

表題は昨今ますますその存在感を大きくされてる山崎亮氏の書籍のタイトルである。いままで建築雑誌などでちょくちょくと氏のお仕事を拾い読みして来たのだが、昨年まとまったかたちで1冊の本となったので一度読みたいと思っていた。

コミュニテイデザインと言う言葉は古くからあり、我々が学生のときにも良く出て来ました。ただ従来は住宅地の計画やデザインの際、いわゆるハードのあり方を探る際に使われていました。我が国に残る昔からのコミュニテイを参照しながら、みんなが共同して使うスペースが大事でありそこから人の繋がりが生まれるとし、それらのスペースをどのように計画し建築や街に組み込んで行くか、それに多くのエネルギーが投入され新しい街や住宅のハードを整えて来ました。
それから約半世紀経ちその成果やいかに?
誰もが感じるように現状はその理念とは真反対なのではないでしょうか。

山崎さんのお仕事はご本人曰く「人のつながりをつくる」こと。そして日本の各地でこの困難な課題に精力的に取り組まれ大きな成果を上げてこられた、と言うことがこの本を読み良くわかります。素晴らしい、こんな人がいるなんて、と正直感動すら覚えました。とにかくその土地の人に会いにいき話をすることから始められるのです。

書籍は各地の事例を平易な言葉や文章で紹介されており、大変分かりやすくたやすく読み進めることができる。しかしそのサラッと書かれた内容の背後にあるものを想像したとき、なんて大きな仕事をされて来たんだろうと感心、感銘するのです。

デザインとは「課題の本質を掴みそれを美しく解決すること」
昨年の3.11以来、課題の本質とは、中央と地方が、行政と住民が、ハードとソフトが、等々、本来繋がっていなければいけないものがバラバラになっているところにある、と言うのが明らかになったように思います。そのすべての基礎となるのが人と人とのつながりなのでしょう。
それをどのように回復していくか、そのヒントがこの本には一杯詰まってるように思います。オススメです!

12.02.01