■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。 

11.08:暑中お見舞い申し上げます

家づくり読本

むかし「建築と社会」誌に”雑誌の功罪”というタイトルでこんな事を書きました。

みなさんはご存知だろうか、一般の人向けの住宅インテリア雑誌の数の多さを。書店には信じられないくらい並んでいる。中身をぱらぱらとめくれば、奇麗な家具や花で飾られた写真が所狭しと並んでおり、衣服などのファッション雑誌と同じくらいの気軽さで読める。
マイホームを求める人のためにも有益な情報が掲載されている。プレハブメーカーの紹介や建築家に頼む場合など、雑誌によって趣が違うがそれぞれが情報量満載である。
一般向けの雑誌なので出来るだけ平易に、幅広く書こうとするのは分かるのだが、多くの情報(特に工事費)が整理されないまま提供されており、これでは素人の方の正しい理解は無理であろうと思われた。少々強引だが内容の未整理な雑然さがそのまま街並に繋がっていくようにも思われた。一般の人に対して取っ付きやすく読みやすく、その人が建築しようとする時に必要な教養や情報をきちんと提供できる雑誌の登場が期待される。
(建築の眼:99.09号)

特に買うものがなくても、ふらっと本屋へ立寄る性分の私は、その後も幾度となくこういう光景を目にしてますが、いつ頃からか”家づくり読本”なるものの多さにも気づき始めました。こちらは建築専門の書棚に並んでおり、ほとんどが建築の専門家向けに書かれてるのだと思いますが、コラムニストやキャスターの方の名前も眼につき、一般の方も対象になってると思われます。こちらも凄い量です。3月の地震津波から更に増えたのではないでしょうか。すべてに眼を通したわけではありませんがパラパラとめくったかぎりは、冒頭の雑誌類と同じような印象が否めず、こちらも良い本が埋もれてしまう残念さを感じました。

その後も多くの余震、そして打ちのめされるような集中豪雨。今回のみならず、今までも幾度となく経験して来た大災害を前にして、家づくりで押さえるべきツボはどこにあるのか、家は、我々の生活はどうあるべきなのか、そして街は。
今回を機に改めて集大成的にまとめあげなければならない気がしました。

PS:私が知らないだけで現時点でも数多く有益で優れた書籍や雑誌が発刊されてるとは思います。ただそれらが埋まってしまってるのではないかと危惧されたのでこのように書きました。いろいろご紹介いただければ幸いです。

11.08.02