11.05:未だ東北は遅々として進まぬ状況です
小さな改修
友人が不慮の事故に遭い車いす生活となるため彼の自宅の改修をする事となった。最初に彼に呼ばれた時、知合いの福祉NPOとも共同していろいろ考えられる限り細かく計画を練るつもりだったが、改修の青図面は既に彼の頭の中にあり我々はそれをお手伝いするだけの形となった。
敷地は緩やかな丘陵地で植樹の手入れが行き届いた立派な庭があるお家だ。道路から建物まで1.5mのレベル処理が必要だが庭が広いのでいろいろな案が検討できそうに思った。
しかし彼は言った、最小限でやりたい、庭はほとんど手をつけないでやりたい、と。そのため予定される室から一番遠い駐車スペースに段差昇降機を設置し、後は庭を横切り、樹木を迂回して部屋にアプローチすると言う。
いやいや、もっと適切な計画なりやり方があるはずだ、と事務所に持ち帰りあれやこれや図面を引きながら検討するも決定打が出せない。いつも思うけどちょっとの事がうまくいかない、もちろん無理は出来ない。
一通り考えを巡らせたあげく、正直まだ少し迷いを残しながらもタイムリミットも近づき、特に新しい提案もできずに先に進んだ。
工事内容とすれば昇降機を据付け、庭の要所(3カ所)にスロープを造るだけ。
何とか連休前のぎりぎりに竣工し、先日、本人自らによる車いすでの最終チェックを受けた。結果は良好。車いすの回転部分の隅に念のため手を入れるだけで、全体として上手く出来ていた。
しかし何より驚いたのが、これでいいのか?と気がかりだった案が、立派な庭を活かした見事な散策路のアプローチとして出来上がっていた事だ。
こう言うやり方もあるのだ、と感心した。
確かに雨の日などは苦労をかけるだろう。しかし私なりの考えで、より親切により負担をかけずに、と考えていくとこのように楽しくワクワクするような結果は出せなかっただろう(もちろんコスト負担も増えてたはず)
本人は全く意識はしてないだろうが、彼の笑顔は「まだまだしっかりやれよ」と言ってるようで、それが何故か気持ちよく、いい気分で終える事ができた小さな改修でした。
*この工事中に今年もINTEXでバリアフリー展がありました。概ね同じような展示内容のなか、今年気になったのがロボットです。手や足など身体の障害をフォローするユニット。建築でのバリアフリー対応の前に、こう言う装置がどんどん開発されればもっともっと豊かな体験をしてもらう事が出来る、と大いに期待したいと思いました。
11.05.02
11.05.04:一部修正
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