■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。 

10.10:やっと秋になりました

おさわりのススメ

先月の日経アーキで思わずニタッとしながら眼に留まった記事のタイトルです。そう言えば最近おさわりしていない。
いやいや怪しい意味ではありません。昔は建物を見れば所かまわず、もちろん許される範囲でですが、よく触っていたのを思い出したのです。
やはり建築は触ってみないと分からない、と言いますか、触る事でよく分かってくる感覚があります。
質感や重さ暖かさなどを直接触れ、五感を通じて感じ取る体験は大変貴重で、筆者の村田氏は建築関係者だけでなくもっと一般の人々にも触ってもらって建築の魅力を再確認して欲しい、その手始めに触りやすい、触っても怒られない「手すり」から始めましょうと言っておられます。同感です。
しかし最近触ってみたくなる建物が無い事にふと気づきます。
特に村野さんや吉阪さんのような建物でなくても以前はついつい触れたくなる部分やデイテールが建物には多く詰まってたように思います。
床や壁の仕上材料にしても各々が控えめであっても強いオーラや力を感じ思わず手に触れてみたくなりました。
最近はそんな経験があまりありません。建物を見て廻る機会が減ったのか、それともやはり建築の魅力が減りつつあるのか。
特に自然素材や有機素材の事を言ってるつもりはありません。価値観も変わって来ているのも感じています。しかしそれでも建築の魅力は眼で見るだけではなく思わず自分の五感を通じて体験したくなるところにあると思っています。
かつての触る楽しさを思い起こさせてくれたタイトルであり、また触りたくなる建物が極端に減ってしまった寂しさも思い起こさせるタイトルでもありました。

1010.05
1010.12一部修正