■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。 

10.08:意外なところにありました

投入堂

昔から写真だけ見ていつか行きたいと思ってたお堂に行ってきました。それは投入堂と言い鳥取県は三徳山の断崖絶壁の凄いところに建っていました。
そこは三佛寺と称され本堂(現在修復中)はじめ数多くのお堂が山の中に散在しており、山岳仏教の霊場、修験道の修行場として知られている所です。
当方はそんなことより一観光客としてお寺の宿坊と精進料理に興味があったのですが、そこの案内をみてびっくり、このお堂で有名なお寺でもあったのです。

修行寺と言うだけあり、山中のお堂巡りはなかなかハードでした。今まで幾人かが事故で命を落とされたそうで一人では入山できない。また入口では履物や身の回りのチェックがある、入る前から相当脅される。
「観光地なんだから安全対策はそれなりにあるのだろう」との思いは全く持って当たらない、気を引き締めて入らないと確かに命の危険がすぐ横にある場所だった。(とは言ってもロープで進入禁止を示すなどの配慮はありました)

道中は岩場や木の根が立ちはだかり、すぐ横は断崖の急斜面を這いながら上がるような場所もいくつか現れ、それはまさに修行のような道行きです。
その途中にポツポツとお堂がある。開山が706年というから1300年も前にいったいどうやって建てたのだろう、それぞれが感動ものです。

昔の人はほんとに凄いことをやってくれる。外国でも信じられないところに修道院があったりするが、そういう建物の姿には感動させられる。いやそう言うより、何かを信じてこつこつと築き上げる人々の意志に心を揺さぶられる。

お堂は設営に携わった人々の労苦など知らんばかりに優雅な姿でそこにある。
線が細く美しい。一度正面からも見てみたいが叶わないとなれば、どこかの調査団が実測してくれないかと、勝手ながら密かに期待している。

いまこのお堂も含めて三徳山を世界遺産に、と言う運動が起こっているらしい。
そうなればそれはそれで素晴らしいが住職から費用面でメンテナンスが大変だと聞いた。どこも同じ問題があるのだろうが何とかこの姿を維持していただきたいと切に思いました。

*2012-5-25の日経アーキの建築巡礼で取り上げられており、そこで西澤文隆先生の「日本名建築の美」にも掲載されてることが判明。早速見てみると図面がありました!
西澤先生、尊敬です!

10.08.03
12.08.02追記