■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。 

08.05:初めて見たときびっくりしました

アウトサイダーアート

みなさんはご存知です(した)か?
障害を持つ人たちのアートの事をこう呼ぶそうです。もう1月以上になりますが新聞であるアウトサイダーアーテイストが即興で制作(当日制作)するパフォーマンスがあると知り、農林会館へ見に行ってきました。
アーテイストはアトリエインカーブ(ここにいろんなアーテイストが集まって活動している)所属の寺尾勝広氏。
寺尾氏は溶接工でもあるらしくモチーフは鉄。鉄の接合デイテールで、キャンバスに実際の鉄骨造よろしく、建築や都市、いやご自分の世界と言うべきか、を組み立てていく。

当日は着くともう制作が始まっており彼は一心不乱に机に向かって筆(実際はサインペン)を進めていた。
アトリエの人に聞くと制作はまずH鋼のような主部材を組み立て大胆に構図を決め、あとはその間を2次部材で繋いでいく、といった誠に建築と同じ行程をたどるようだ。しかし打ち込むリベット、ボルト、これが半端じゃなく、余白を許さじとばかり埋め尽くすのだ。当日はその様を見た事になるのだが、書きながら周りの人と笑いながら話もするが、その間も手は止まらず、また多少後ろに引いて全体を見返す事も無く、何の迷いも無くひたすらキャンバスを埋めていく。
すぐ傍で見ていて、これには驚きでした。

また表情に難しさや深刻さがなく、柔和な人懐っこい笑顔で飄々と書き進めるのだ。頭に中にどこまでできているのか、+、○、△などの記号がある法則に乗っ取って(そう思うのだが)書き込まれていく。しかし何度も言うがそのスピードは尋常ではない。そうして出来上がった作品は緻密で情熱迸る感覚にどこかユーモラスな感覚も混ざる。これがこの芸術家の魅力なのだろう。

パフォーマンスは2日で約A1サイズ1枚を書き上げる予定だったそうだが、1日目にできてしまうだろうとの事でした。他にも彼の版画や色紙の切り絵の作品が並び、想像もつかないようなカタチに圧倒され、いきなりすっかりファンになってしまいました。

彼(及び他の芸術家たち)の作品はアトリエインカーブのHPで見れます。
ご興味あればこちらまで。
http://incurve.jp/
今やニューヨークでは有名な芸術家たちだそうです。

08.05.01