■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。 

07.09:産経妙07.08.19より

モノづくり

またまた共感する新聞のコラムが目につきました。大工さんに始まる話題で、少々長くなりますが以下引用させていただきます。

前略)
かつて、子供たちに取って大工は憧れの的だった。鮮やかな手つきで鉋や金槌を使い、高い所に登り家を建てていく。そんな姿を一日あかず、見ていたものである。

実は私もそうだったんです。実家の関係上、身近な所で大工さんが刻んだり削ったりしてるのを木の香りとともに見てるのが好きで、残材で小さな箱や小木刀などを作ってもらったりもしました。

それがいつ頃からか大工が建設業となり、ビル建設が主となった。一戸建てにしても、ほかで作ったパーツを組む立てるだけということが多い。「大工さん」の姿が遠く、見えにくくなった事が、若者の建設業離れの大きな理由のような気がしてならない。

昔から言われて来た事ですが今でもまさしくその通りだと思います。
工場生産品を買ってそれを現場で組立てるだけで家ができてしまいます。しかも組立て方も決まっておりそこにはもう創意工夫する部分はほとんど残っていません。逆にそう言う事をすると却ってややこしくなるんです。それではやはり端から見ていても面白くありません。

(中略)
手先を使う技術は10代で覚えるのが一番とされる。ところがその時期、中学や高校では机上の勉強ばかりさせられる。それでは「モノづくり日本」も危うい。

今ある団体の委員会でもこれに関連して議論しているところです。若い方々に建築のモノづくりの現場を見てもらう事ができないだろうか。単にマニュアル通り組立てるだけでない工夫溢れる創造的な工事現場を。特に多くの方に建築技術者になって欲しいのではなく、建築をもっと身近で面白いと感じてもらいたいのです。その積み重ねが建築、街、都市をもっともっと魅力的に変えていいく原動力になり、 建築文化の成熟、そして豊かな伝統とも繋がっていくんだと思うのです。
産経妙も最後に次のように言われてます。

(中略)
山本周五郎の「ちいさこべ」や落語の「三方一両損」などに登場する大工たちは、金銭にこだわらず、筋を通す頑固者に描かれる。この世界が理想とし、誇りにしてきたものかもしれない。そんな「伝統」にも触れてもらいたいのだ。

ほんと、ここまでくれば自分たちの街は凄いものになってるのではないでしょうか。
みなさまはどのように感じられますか?

07.09.04