■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。 

07.03:新聞記事に目がとまり

階段

階段と聞いてみなさんはどんなものを思い浮かべますか?
先日新聞で「和風建築と洋風建築のもっとも大きな違いは階段である」 と始まる記事に目が止まり改めて私なりに思い起こす機会を得ました。
確かに和風建築は平屋かせいぜい2階建てのせいか、その階段は押入のような所に押し隠されたりで、ほとんど建築上重きを置かれてないようです。
それに比べて洋風建築では邸宅の玄関ホールなど、中央にどっしりと構え、多くは装飾も加わりあたかも主役の様に扱われ、映画などでもそう言うドラマチックな建築要素なのだと気づかせてくれます。

今やもう和風や洋風の区別は意味がなさそうですが、魅力的な階段の最たると思われるのは、個人的にはやはりパリのオペラ座で、その壮大な階段ホールは佇むだけで、また上がり下りする度に高揚感が沸き上がり、視覚的にも体感的にも誠にエキサイテイングな空間です。
建築はそう言う要素を昔から持っているのに、最近は興奮する階段にそう巡り会いません。

もちろん階段のための建築は無い訳ですし、また高層化が前提の現代建築では実際の上下移動はEVとなり、階段は建築基準法の避難施設としての役割を担うだけでなかなか空間の主役になれないようです。
しかしそれではあまりにも惜しいなあ、と改めて感じます。
法的にはやっかいな規制が多く、また昨今のバリアフリーの流れからも嫌われ今や設計上大変扱いにくい対象ですが、条件が許せば、一度興奮するような階段を設計したいと、密かにその機会を狙っております。

07.03.05