■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board(メンテでしばらく休みます)

06.07:まだ関西のどこかでやってるのでは?

マイ・アーキテクト

関西でも京都から順に上映され先日大阪、十三の七芸で見てきました。
前にも書いたがナサニエルという建築家ルイス・カーンの息子が、父のゆかりの人を訪ね、設計した建物を巡りながら幼少の頃に亡くなった父親を再確認していくドキュメンタリー映画である。

主題は息子の内なる父親であり家族であり、それも我々には分かり辛いアメリカ社会でのユダヤ人、愛人達とその家族たちと言った少々複雑なものであるが、随所に出て来る有名建築家の姿、言葉、そして何よりも彼の建築物に改めて触れる事ができ、建築関係者に取っては誠に興味深い映画なのである。

駅で倒れ亡くなった浮浪者のような最後に象徴されるように、謎の多い人物だったらしく、その部分がクリアーにならなかったのは残念だったが、時たま挿入される昔のフィルムでの彼の風貌、彼の声、もっと見たかったしもっと聞きたかった。多くの関係者が賛辞を与えるが印象的だったのはインド、バングラデシュ、エルサレム、そして楽団の船と言う少し特殊な、アメリカ社会から離れたような交友関係で、何か謎の背景を象徴しているようで自分なりに納得した。それにしても独り遠い国へ赴き構想した建築物を遂行して行く、何て格好いいのだろう!

建物ではまずキンベル美術館。
導入部分のTV(ラジオかも)アナウンサーの「家畜小屋のような建物だが中は凄いらしい」のフレーズよろしく、強く、優しく、美しく、家畜小屋のような静的な形式の中に息づいている驚嘆すべき豊かさを改めて眼のあたりにした。

同じ父で違う母の子供たちが集うフィッシャー邸、これも印象的だった。
住宅、家族のための住まい、それもこの子供たちのために設計されたと錯覚するようなシーンだった。

バングラデシュの国会議事堂。
国家の建物とはどういう要件が必要なのか、短い時間の中でそんな事を示唆された印象だった。公園の普通のおじさんや案内役の建築家、キャステイングもなかなか良かった。

まだやってるかどうか分かりませんが、みなさまどうぞお見逃し無く。

06.06.30