■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board

04.12:ある雑誌の特集「私の空間作法」より

外に開く


IKET

私はいつもどこかに「外」に開いている空間を創ろうと考えてます。
それは街並みに対して表情を創ったり、インテリアの広がりを求めたりする事にも繋がるのですが、「内」と「外」とが交互に織りなす情景には大きな魅力を感じております。
この建物はカバンの制作工場で、ややもすると各部が閉鎖的な表情を持ち、空間も分断されがちなのですが、内部を繋ぐ動線空間をまず街角に開き、内部の各スペースはこの空間に開くことでシークエンスのある全体を創り出せないかと考えたものです。

「建築と社会」1998.11号

工場だけでなくオフィスや住宅であろうとこの考えは今でも変わっておりません。
また「外」というのは物理的な外部空間だけを言うのではなく、どちらかと言えば「他」と言う概念も含めたいと思ってます。
例えば劣悪な都市環境では、取り込んだ中庭などの外部空間に開き、道路側など外に対しては閉じる場合もあるのですが、私はその場合でも何とか外に対して、つまり他に対して開いている部分を造れないかと考えています。それはもちろん周辺を含めたより広い環境、都市環境を向上する第一歩だと思うからであり、住宅街などでは単純に洩れて来る明かりが繋がっていくだけでも街灯だけでは造れない雰囲気が醸し出されると思うのです。
更にはプライバシーを損なわない範囲で中の気配なども外に滲み出て来たとしたら、そこはやはり自分の住環境としてより良くなるに違いない、そんな風に思うのです。
今年も早師走。
気ぜわしい中にもクリスマスや年を越す楽しさを味わいたいものです。

04.12.02