■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board

04.10:素材や佇まいなど全般についての話です。

as it is

それがそのままあるように、あるがままに、そう言う意味でこの言葉を使ってます。
使う材料はそのまま見せて、形をこねるのでもなく、新しい建物でもあたかも昔からそこに在ったように、素材でもそこに使われてるだけで、なるほどと理屈抜きで思える時、何かピタッと感じられる時、それを as it is の状態と呼んでます。

それは単に馴染むとか斬新さがないという事ではありません。
非常に新鮮な驚きを感じてもそれ以上にこの感覚に浸れる設計、デザインがあるのです。
「何だこれは?」と人を驚かすのでもなく、短時間の刺激を受けるだけでもなく、幾度となく訪れ体験を重ねても常に心地よい刺激とともに味わえる感覚とでも言えるでしょうか。
刺激と安堵感、双方が一度に味わえるようなそんな素晴らしい感覚で、やはり名建築に多く感じられます。

私に取ってこういう感覚の初体験は鎌倉の近代美術館、あの坂倉さんの代表作です。
それはロケーションに大いに助けられてたという記憶がありますが、その箱形の形態や自然素材のみならず工業素材なども含めて、それらがことごとく as it is の感覚だったのです。

森の中の山荘や時を経た建築物なども良好な環境を造ってると言う点ではこの感覚がありますが、それだけでは設計、デザインとしてはもの足らない。何か後一歩そう言うところに近づきたいのです。そのためにはどうすればいいのか?いろんなスタデイの後に見えてくるものを追い求めるしかないような気がします。

決して恣意的にならず尚かつ輝いている、そんな設計を目指したいと思ってます。

04.10.01