■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board

04.08:奥の深いはなし?

寸法

扉の幅は800mm、天井高さは2,400mmなど建築設計に寸法はなくてはならない重大要素です。特に制約がなかったり使い手が特定できない場合などは標準とされてる寸法で設計されますが、住宅などの小さな建物では極限の寸法が追求されたりすることで非常に豊かな空間が生まれたりします。アンドーさんの建物なんかそうです。非常に狭い小さな中に何故あのような豊かさが生まれるのか、巧みな寸法把握がなせる技だと常々感心するところです。

またスケールと絡むのですが「優れたデザインにはいろんな単位での寸法が見える」とは原広司先生のお言葉です。
大規模な建物なら、何百メートル、何十メートルから何ミリに至るまで、つまりランドスケープのような段階から原寸の段階までいろんな面から追求され総合化された成果にはその跡としての寸法が見えると言われるのです。
大味な空間やガラスカーテンウオールの表情は何メートル以下何ミリ周辺のスタデイがなされてなかったり、単調なマンションでは各戸の単位という一定の寸法が増幅されるだけだったり、確かに評価されないデザインには段階的な寸法体系が見えない気がします。どこも省く事なく満遍なく一通りやらないといけないという事でしょう。
こうなると古典建築のオーダーや木割りなどが思い起こされますが、単なる表層のデザインだけではなく、人が集まる、一人でくつろぐ、歩く、持つ、触れるなどなど空間や身体感覚でのスタデイによって決定される寸法が大切なんだと言う事でしょうか。

この建物では扉の幅は800で良いのか、天井は2400も要るのか、手すりの丸面はいくらにするかなど、標準で当たり前と思ってた部分でももう一度吟味し寸法を与えて行く、そして総合化して行く、そう言う設計が大切なんだと改めて思います。
そして何よりもその寸法を自分でどう把握するか。人それぞれの体格、感覚によって変わる寸法をどう判断するのか。
日々の修練(みなさん、コンベックス持ち歩いてますか?)のみならず、鋭い感性が問われているんだと思います。
暑さにぼーっとしてる場合じゃないかもしれません。

04.07.30