■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board

04.06:詳しい本を読めばいいのですが。このテーマではいろんな本が一杯あると思います。

いえと家族

最近は何も言わなくても核家族というのが住宅設計の前提となっていると言っていいでしょう。
核家族、つまりは一世帯家族という意味で私も使っており、昨今の二世帯住居でも二つの核家族と言っていいものの方が多いように思います。つまりそれはかつてあった、と言っても私の体験も大したものでは無いのですが、本家分家と言ったレベルから家長を筆頭に長男、次男と言った男のタテ系列の明確なヒエラルキーが存在した家族とは明らかに異なるのです。

話は変わりますが、みなさんはお葬式で親戚の焼香順を考えられた事がおありでしょうか?実は先日そのような体験をし、その煩雑さに閉口しながらも多いに考えさせられてしまいました。 そこには既に死んだと思っていた家族や町内のヒエラルキーが未だに根強く生きているのです。それぞれの上下関係が厳しくしかも正確に要求され、言い過ぎかもしれないけど、一つ間違うと今後の縁がおかしくなるのです。親類や廻りから村八分にされてはたまったものではありません。

日々の生活には無縁であっても冠婚葬祭には今だに根付いているかつてのいえや家族。
もう形骸化してるように見えるものが何故今でも大事なところでは顔を出すのか。 また人生経験豊かな先輩たちがけんか腰になってまで何故それを大切にするのか。
そこには実に重要で興味深い事柄が内包されてるように思えてなりませんが、若輩者には
その実態が見えず、また深く入る事に躊躇を覚えたりで、大きな閾になっているというのが現状でしょうか。しかしここを超えないとコミュニテイという概念に到達しないのではないかとも思います。

この主題は器としての住宅というよりその中での振る舞いや住まい方といったソフトを規定する要因と言えそうですが、以前都市のネットワークに特化した家を設計したいと思ったのと同様、一度明快な家族のヒエラルキーを持ったいえの設計に大いに興味が出た次第です。
前回同様にそのような、それはもうかなり特殊な建築主と言えるかもしれませんが、是非ともお会いしたいなあ、とそんな事を思ったお葬式でした。

04.06.02