04.04:先日の竣工物件にて
素材感
古い時代のイメージですが、建築と言うのはそれが建つ場所で採れる材料から造られてきました。言ってみれば当たり前のことで、そこで調達できないものからは造れないのです。
欧州の石、大陸のレンガつまり土、我が国の木材、などなど。
その場所にある自然の素材を利用して造ることでその土地の風土や文化が刻み込まれてきたわけです。初めはそのまま使っていたものでも、どんどん工夫加工することでより多様な造り方ができるようになりましたが、基本的にはその元の材料の魅力に溢れるものでした。
近代になると少し状況は変わります。革命が起こりました。
どこででも利用できる鉄とコンクリートと言った材料が出現し、それに伴う新しい工法による建物があっという間に世界中に広がりました。
近代建築です。しかしそれでも鉄、あるいはコンクリートと言った素材の感覚ははっきり建物に備わっていました。場所による違いはなくどこでも同じだけれど、そういう新しい素材感が外に現れ、空間構成と相まって建築の魅力になっていたように思います。
今の建物はどうか?
建築から素材感が無くなったと言われて久しいのですが、それはエコとかシックハウスに繋がる自然や健康材料とかの観点からではなく、もっと建築の根本にある素材の魅力についての嘆きのフレーズなのです。
都市に建てる、と言うことでこんなにも建築の材料は不自由になってしまいました。
主に防火の観点から構造体の材料と仕上げの材料とに分けざるを得なくなり、その仕上げ材もほとんどが新建材として安価に大量に製造される材料で、今までの建築に備わっていた素材感が無くなったのです。
その土地の材料で造っても隠れてしまったり、木や鉄で造ってもそれらの素材を感じられないのです。どっしりとした構造材も表現に加わらずに、味のないボードの張りぼての建物になってしまいました。
素材感を出さずに空間構成を強調する。
もちろん大いに賛成で、要は素材と空間とは一体のものなんですが、現在の材料には大いに不満があり、ガラスの建物が多いのも、今となっては素材感のある数少ない材料だからではないだろうかなどとも思い、もっともっと素材の魅力があって欲しいと思うのですが、みなさんはいかがでしょうか?
いい材料があればお教え下さい。
04.04.02