■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board

03.09:入門と書きましたが入門の入り口を見たと言った感じです。

エコ入門

先日「京エコロジーセンター」の見学会に参加しました。
施設の運営者と設計者の説明を聞き、建物を一通り巡りその概要を知る、と言った企画で、エコ、エコと言いながら一体何がどうエコに繋がるのか、その確かな道筋が見えない私にとってとにかく参照できる建物を知っておきたいと言う思いで見てきました。

建物はこれ見よがしのデザインもなく運営のNGO団体の考えをベースに一つ一つ丁寧に真面目に取り組まれた成果としてあり、大変質が高く感じられました。随所にエコ虫(具体的な対策に気付かせるサイン)が潜んでおり、子供達のみならず来館者に学習しやすい配慮も好印象です。

個人的に興味をもったのは地中の安定した空気を取り入れる「アースピット」と「躯体放射冷暖房」です。住宅のようなレベルでも、ほとんどの建物にはアースピットに利用できそうな基礎梁空間がありますし、直接風を感じずにひんやりとする感じは実に快適に感じました。

しかし結局のところ設備に頼るのです。つまり快適な環境を整えるためには設備や装備が必要であり、それらををいかに運転させるか、そこにエコに繋がる考えや知恵が投入されているのです。その辺りもちろんこのセンターの方々も気にしておられ、ちょっとした次の話が大きな話に繋がりそうで印象に残りました。

手洗いの水洗を自動水洗にするかどうか?
データではその方が明らかに節水に繋がるそうなんですが、自分で開けて必要な分を使い自分で閉める、それで節水をするべきだ、との考えも強く、結局二つある手洗いにそれぞれが設置されたそうです。

やはり基本は使う側と言うか、一人一人の生活態度が問題にされるべきだと思うのですが、それを前提にしても建物をどう造ればいいのか、その悩みは解消されず悶々とするばかりです。
放射冷暖房のひんやりとした洞窟のような感じ、かつてはそのようなところに定位したことが思い起こされ、今、我々は何と遠いところに居るのかと、何だかエコというのはため息のでるテーマだなと思う一日でした。

03.09.02