■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board

03.07:住まいについての雑感です。(08.05一部加筆修正)

都市に住む

学生の頃東京で借りてたアパートには風呂やキッチンが無く、仕方がないのでと言うより当時はこれが当たり前として定食屋へ通い銭湯に行った。銭湯のヨコにはコインランドリーや帰り道にはコンビニ、セブンイレブン(そう言えば当時は11時までオープンでした)もあり、なるほど近くに何でもあり東京は便利にできている、なんて思ったものでした。

あれから30年、都市に住む様相はがらりと変わった。
こういうのを住宅事情が良くなったと言えるのかどうか知りませんが、いまやキッチンや風呂が付いてるのが当たり前で銭湯など日々の生活に密着した共同利用としての都市施設は姿を消していき、代わって都市にはオフィスに加えて様々な娯楽や余暇をになう施設が充実し、それらをネットワークする生活が一般化したようだ。そしてそのネットワークは近隣エリアなどという概念を通り越し、交通など移動手段の整備と相まってどんどん拡大している。

例えばバー、例えばジムなど、主婦層も含め人々の日常は実質的に住居を離れる時間帯が多くなり、各個人の持つネットワークの中で、人とのつきあい、精神の安定、身体の休養などと言った欲求を満足させている。

それら全体がその人の日常生活であり、都市の中に散在する各スポットを含めた全体がその人の住宅であると言え、ネットワークできる拠点を多く持つほど豊かな生活、豊かな住まいと言えるのであろう。

それが都市の魅力であり、都市に住むとはそのようなネットワークに定位する事なのだ思ってきました。
このようなネットワークの拠点に特化した住宅とは一体どんなものか、大変興味深く、そんな建築主が現れないか期待する今日この頃です。

03.07.01