■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board

03.06:レストランでのちょっとした思いつきです。

メニューに思う

今月は設計の同業者に対して聞いて欲しい話なんですが、みなさんは住宅の設計で一般の建築には素人の方が相談に来られたとき最初にどのような話をされてますか?特にプレハブや建売などと比較して出来上がりや進め方などがまったく違う事に対してです。
今まではとりわけ意識しなかったのですが、デザイナーや建築家ブームとも言える昨今、改めて最初にきちんと話したいのですが、しかしどう言えばいいのか、それをこの間レストランのメニューを見ていてふと思いついたのです。
その思いつきとは?

例えばプレハブ住宅はその店定番のお薦めコース料理。
コースはもう限定されているが、メニューを見てもどんな食材でどんな味付けかが大体経験上わかるもので、更には写真や見本まで用意されていて安心して注文できる。一品ずつ頼むより割安で、特別美味しくもないがまずくもなく、一通りデザートまで用意されているので、いったん注文すれば後は自動的に出てきて煩わしさがない。ただ「ちょっと塩を多目に」なんて頼むと追加料金が発生したりするが、もちろんその時の空腹感は満たされる。

かたや、メニューを見てもいったいどんな料理かわからないものがある。(海外でのレストランでご経験ないですか?)何とか肉か魚などの食材がわかってもその味付けまでわからない。美味いのかまずいのか。
尋ねると丁寧な答えが返ってくるが専門用語もありわからないことが多いし、値段は高めだし、中には時価なんてものもある(?)
メニューは多かったり少なかったりいろいろだが、いろんな組み合わせは自由でその場所その時間でのベストなものをコーディネートしてくれるので、お任せにしてこの上なく満足する人もいるけど、基本的には一つ一つ説明を聞きながら自分にとって最適なものを判断して注文していかないといけない。時には注文しても反対されたりするし、正直ちょっとしんどい。
大体は予算と基本的なところだけだけ言って、あと細かいところはお任せ、というのがほとんどであろう。

家造りそのものに対する姿勢によっても違うのでしょうが、多くの人が建築家に頼めば多分こういう感覚なんじゃないだろうかと思ったのです。
出てくるまでわからない不安はあるけれど、やはり食べれば美味しいし、それまでの悩んで苦労した過程と相まって本当に心の底から満足する食事ができるのだと思います。
結局はその人に合うかどうかなんですが、今後打診に来られたら最初にこの話をしてみようと思うのですが、いかが思われますか?

そしてやはり言いたいのは家づくりの場合はその味と何十年と付き合わないといけないと言う事です。そう考えたとき前者のようなお決まりの味で良いのか?後者のように思わぬ隠し味に遭遇したり、年々熟成していくような味を楽しんだり、果たしてどちらが良いのか?それが第1回目の食事で決まるのです。

03.05.31
05.11.09加筆