01.10:先月に続き木造住宅に関して。
木造の棟上げ
私は木造の棟上げが好きだ。 (木造と言っても在来工法のような軸組工法のことである)
骨組みが露わにされ、化粧や仕上げやが施される前のいわゆる裸の姿であるが、余分なものがそぎ落とされた凛とした風情が何とも言えず好きである。
木々も若く、香りに包まれ、さわやかで 気持ちがいい。
何より建物の基本空間がそこにある。
周囲から切り取られた新しい住まいの空間が目の前にある。
とにかく遮るものがないわけなので、各部は分断されることなく内部から外部へと連続し、空間の骨格のみが現れている。このような状態で雨風を凌ぎ音熱に耐えるような、住まいに必要な性能が備わればと、ついつい思ってしまう。
そして架構の美しさがある。
木の軸組は美しい。
柱の垂直線 、そこに架けられた梁の水平線、 覆われる屋根の斜線。
水平と垂直の秩序、シェルターの安心感、光と陰、ピンと張った緊張感。
空間の寸法と各部材の寸法とが我々人間にとって丁度具合良く調和している。それらのプロポーションに美学を与えた先達の気持ちが分かるような気がする。自分も背筋が真っ直ぐとなるのはそのような伝統を無意識にも感じているのだろうか。
この棟上げの時に 設計の善し悪しも現れる。今までの努力の成果が決まると言って良い。
化粧や仕上げに頼らない基本骨格のところが我々の一番の勝負所であると思っている。
棟上げは喜びの瞬間であり、緊張の瞬間である。
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