■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board

00.12:あらためて「住宅品確法」についてですが、私の先生の意見を紹介する形で。

品確法再び

先日神戸芸工大学長の鈴木成文先生の話を聞く機会がありました。
先生は日本の戦後住宅研究の第一人者で、私の恩師でもあられますが、その先生が住宅品確法の性能表示制度はおかしいと言われてます。
いろんな所にも書いておられますが、私なりにまとめますと、

1.ハウスメーカーのように一様な規格化された住宅を提供する大企業を結果 的 に後押しすることとなり、 地域と共にその風土に根付いた住宅作りをしている大工や工務店を圧迫する危惧がある。

2.一般ユーザーや住宅を供給する業者が、表示された9項目の性能が住宅の良さ であると錯覚しかねず、その場所、その人に本当に必要な住環境の質に眼がいかなくなる。

3.自分の家の性能を意識するあまり、周辺の街並みや環境から遊離した閉鎖的 な住宅建設を助長するおそれがある。

住宅を「つくるもの」としてではなく「買うもの」としてとらえてるあまりにも近視眼的な制度であるとの主張で、あらためて同感であります。

またお話を聞くにつれ、われわれ建築家、設計者の責任を切に感じました。
前にも述べましたように単体の性能はもちろん気になり、必要な技術的検討を尽くすわけですが、周辺との関係、街とのつながりを意識しながら建築主とのバトルのような住宅設計業務に、この品確法との戦いも追加されたように感じました。

果たして一般の建築主はどのように理解されてるのでしょう。
最新の動向やみなさまのご意見等ちょうだいできれば幸いです。

*鈴木先生は神戸芸工大のHPで学長日記を書かれてます。
面白く、タメになりますので皆様も一度どうぞ。URLは次の通り。http://www.kobe-du.ac.jp/c_nikki/c00_00.html

00.12.05