■ MAE today

この欄には当研究所の近況や、今思うことなどを概ね1回/月のペースで気ままに書いていこうと思っています。どうぞお気軽にお読みください。    → MAE board

00.07:「建築と社会」誌に「建築の眼」と言うページがあり、今月はそこに連載されたものです。日頃街を歩くにつけ思ってたことを書きました。

個人的な危機感 

木造サイディング
別名建て売り仕様とでもいうのか、住宅産業メーカーのカタログが1冊あれば設計施工とも事足りる建物。
主に住宅。 プランも敷地や周辺の状況が考慮されず、玄関や居間の開口部など無造作に設けられる。

鉄骨ALC、吹付タイル。
どう言えばいいのか、美味くないのを調味料だけでごまかすような、いわば偽物のような建物。造りやすいのかいろんな用途に現れる。 きちんと造られているものもあるが、ほとんどがさしたる配慮もなされず、その場しのぎ的にできている印象。

RC片廊下スタイルのマンション。
バルコニーや屋根で多少の変化が見られるものの、どこでも同じく画一的で無表情の建物。いったいいつになったら姿を消すのだろう。

今これらの建物に、私たちの街は覆い尽くされ、景観も決定づけられている。 その要因は、建築界の努力不足もあるが、オーナー(建築主)の見識によるところも大きい、と言いたい。

何とかオーナーに建築的教養を高めていただかないといけないと思う。 事は我が国の建築文化に繋がる大事だと思うのだが、今は一部の人の意識だけが空回りしているようだ。 時の流れと共に、緩やかに変えて行かねばならないものなのだろうか。

気の遠くなる話しではある。

「建築と社会」 1999.07号 一部修正

00.06.30